代表者インタビュー
「なぜ就業規則を変えると会社は儲かるのか」「人が変わる!組織が変る!勝ち組企業の就業規則」
の著者であり、社会保険労務士事務所エスパシオ/株式会社エスパシオの代表である下田直人氏に
就業規則が社員や組織に与える影響、またその取組みについて話を伺いました。
24歳の原体験が「魔法の就業規則」を生み出すきっかけに
-お仕事を始めた頃から、就業規則の活用に取り組んでいらっしゃったのですか-
実は違います。
私が初めて就職したのは意外かも知れませんが「金券ショップ」です。
本当は旅行会社を志望していたのですがことごとく落ちてしまい(笑)。
バブル崩壊後のいわゆる「就職氷河期」のころのことですね。
とにかく人の出入りが大変激しい会社でした。
新宿店に異動した2週間後に「新橋店に異動して」と言われたり。
それはダイナミックな人事異動が日々行なわれていましたね(笑)。
そんなある日、突然転機が訪れました。
やっと仕事も覚えた入社2年目の24歳のときのことです。
「広島へマネージャーとして行け」と命じられたのです。
ただでさえ私にとって広島は未知の土地。
しかも赴任先のお店の業績は、全国20数店舗の最下位。唯一「赤字の」店でした。
「本当に自分が行くのか?これはもしかしたら左遷じゃないの?」
正直途方にくれました
-実際に行ってみたときの感想はいかがでしたか?-
出社当日、愕然としました。あまりに覇気がないのです。スタッフは若く、ほとんどが年下ばかり。
本来ならもっと元気いっぱいのはずなのに、全員やる気が全くないのです。店の空気もどんよりしていました。
言われたことしかやらない。私が見ていないとすぐサボる。注意をすれば言い訳ばかり。何でも人のせいにする。
正直「これはとんでもないところに来てしまったぞ」と思いました。
-何かマネージャーとして手を打たれたのでしょうか-
そうですね。何とかして売上をあげなければ、私の給与もどんどん下がります。
だから途方にくれてばかりもいられません。
もともと、200万円貯めたら会社を辞め、独立の道を模索するつもりで入社したので、現状にただ甘んじる、という選択肢はなかったんですね。
そこで「どうすれば利益を確保できるのか」。
最初の1週間はそればかり考えていました。
金券ショップに、削れるコストはほとんどありません。
金券ショップというのは典型的な薄利多売の商売です。
「より多く仕入れ」「より多く売る」しか、利益アップの道はありません。
また売値も仕入れ値も、同業他社の相場次第できまります。
業績の悪いお店には、価格主導権はなくひたすら負け戦を強いられることになります。
「どうしよう」
悩んだ挙句、まずは来店客を増やすことだ。それしか現状を打破する方法はない。
こう考えました。で、最初に手をつけたのが「通勤の途中でチラシまき」です。
-スタッフからは文句が出たのではないですか?-
いいえ。実は私一人で始めました。だから毎日孤独でしたね(笑)
それが10日ほど経ったときでしょうか。
1人の社員が「ボクも手伝います」って言ってくれたんです。あの朝は本当に嬉しかった。
そして数日後にまた「私も手伝います」「自分にもやらせて下さい」って。
ちょっとドラマのようですね(笑)。
いつしかお店のスタッフ全員が自発的に手伝ってくれるようになりました。
ルールを明確にするだけで売上前年比150%を達成。
-先生の姿を見て、ということでしょうか-
それもあるのかもしれません。
が、それより大きかったのはスタッフ全員に対して定期に個別のミーティングを始めたことだと思います。
それまでは私自身ですら、マネージャー研修などを受けたことは一切ありません。
でも私の新人時代に上司がやってくれたことで、「これはいいな」と感じていたことを、私も部下に実行してみたのです。
例えば、良い点を具体的に褒める。足りない点は「こうしたら良くなるよ」とアドバイスする。
そして「ボーナスをしっかりもらうために、頑張ろうぜ」とハッパをかける(笑)。
たったこの3つでした。
でも、続けていくうちにスタッフの顔つきや行動がどんどん変わっていくのがわかりました。
お店の雰囲気は明るくなり、お客さまも増えてきました。
しかもスタッフは、自発的に同業他店の売買価格をリサーチしてくるようにさえなったのです。
-実際にどの程度、業績への影響が出たのですか?-
たった3ヵ月後に売上が上がり始めました。
前年同月比130%~150%の達成率です。
しかも以降1年間に渡り達成し続けたのです。
業績アップの要因は、明らかにスタッフのやる気と行動にありました。
全スタッフが「仕事って楽しいものなんだ」ということを知る。
しかも全員一緒に取り組むことによって、オーラがお店に溢れていくのを実感しました。
―このような変化をなぜ実現できたのでしょうか?-
じっくりと整理して得た結論が『ルールの明確化』でした。
評価に応じた賃金制度などない会社でしたが、私が一定の基準で公平・公正にスタッフを評価し、
良い点・悪い点をきちんと伝えたことによって、『仕事において、何をすべきで、何をしてはいけないのか』
というルールが明確になったのです。
これがマネージャーとスタッフ、あるいはスタッフ同士の信頼感につながって、店の雰囲気がぐんぐん
よくなり、業績も上がったのだという考えに至りました。
これが「就業規則で会社を変える」の原体験です。
私自らが奮闘しスタッフと共に実証してきた考えやエッセンスが、お客様にご提供している「就業規則」に
惜しみなく注ぎ込まれています。
社長の「想い」を就業規則に
-就業規則作成のポイントはどんなところでしょうか?-
大きく3つあります。
一つ目は会社の成長ステージによって、記載したほうが良いもの、記載しなくても良いものがあるということ。
もちろん、労働法にのっとっていることが大前提ですが、ひな型をベースに作られた就業規則を見ると「法律で求められていること以上の、出来ない約束までしてしまっている」ものを良く見かけます。
下手につくると、自ら作った就業規則に縛られて、企業活動を阻害される事態にもなりかねません。
2つ目は、「就業規則を活用して、もっと儲けて従業員も会社もハッピーになる」ということ。
目的意識をもって就業規則をつくり、活用することで、会社の風土はもとより、業績さえ良くすることができるからです。
会社は社会の縮図です。
人と人との間に信頼関係がないならば、世相と同様社内の雰囲気は暗く陰湿になり、生産性も下がります。
信頼関係の基礎となるのは、皆に守られる明確なルールです。
社会で言えば法律、会社なら就業規則がこれにあたります。
就業規則が業績アップの鍵を握っている理由は、ここにあるのです。
裏を返せば「就業規則は従業員から搾取する目的で作るものではない」という意識で作るべきです。
就業規則といえば「問題を起こす従業員から会社を守る」ため、リスク管理の側面から作る、というスタンスがあります。
とても重要なことで、私たちのご提供する就業規則にも当然織り込まれています。
ただし、もし「問題を起こす従業員ばかり」なのであれば、就業規則を作ったぐらいで解決できる問題ではない。
もっと深いところを解決する必要がある。そう考えています。
3つ目は、社長の「どんな会社にしたいのか」という想いを就業規則に盛り込む、ということです。
極論すれば、当社の仕事は、社長の想いを、就業規則を使って実現するためのお手伝いだと思っています。
もちろん「想いはあるが、ちょっと曖昧かも」と言う社長も多いです。
その場合は経営理念を明確にすることからお手伝いしています。
社長が胸に抱く想い引き出してあげる、いわばコーチング、といったところでしょうか。
-具体的なコツやノウハウはいかがでしょうか?-
就業規則作成の枝葉のテクニックやノウハウは無数にあり、ここで全てをご紹介するのは難しいですね(笑)。
拙著をご覧頂ければその一部をご理解いただけると想います。
また当ホームページで事例やケーススタディをどんどん公開して行きたいと考えています。
就業規則は会社によって必ず異なります。企業の成長ステージ、風土、社長の想い、業種、従業員数、
またよくケースが初代の社長からバトンタッチした直後、あるいは近い将来、事業承継が行われる場合
などのタイミングによってもお薦めしたい就業規則は異なります。
だから一番良いのはお気軽にご相談いただくこと。
敷居の高さを感じていらっしゃるお客様もいるようですが、面倒でも一度ご相談くだされば
「こんなことなら早く話を聞いておけば良かった」といわれるお客様がほとんどです。
「就業規則で組織が変る、業績が伸びる」というと「眉唾じゃないの」と思う経営者や幹部の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし最後に一つだけ申し上げたいのです。
それでも私たちは「就業規則には、人を変え、会社を、社会を変える力がある」ということ。
日本の企業の90%以上は中小企業です。
その中小企業が元気でなければ、日本は沈没してしまう。
少子高齢化が進み「皆で働き、皆で支えあう」社会へと移行しています。
ならば「誰もがイキイキと、やる気をもって働く」ためのしくみや制度をつくる。
これがますます重要になっていくことは必然でしょう。
お客様の会社をもっと元気にしたい。それがエスパシオの切なる願いなのです。



















